歴史と伝統の中で培った本当の乳幼児教育
保育園を取り巻く環境は大きな転換期にあります。これまで保育園と幼稚園で別々で行ってきた就学前教育の一元化、幼保一元化が日程にあがっているからです。就学前の教育の充実に異論はなく、保護者のニーズも強い。過日、新聞に京都の大手進学塾が街中に保育園を開設する記事を読みました。進学塾のノウハウを生かした園を目指しているといいます。
当園は、保護者のニーズに応え、養護の乳児部門と教育の幼児部門に分け、職員の配置、カリキュラムを作成しています。外部の専門講師の助けもかりての事実上の幼保一元化です。課題も多いですが、職員のがんばりで効果をあげ、学校における卒園児の評判は高く塾通いなしで私立の難関合格者もいます。ところが、政府の一元化に幼稚園が反対していると聞きます。「学力低下」が表向きの理由だそうですが、新聞の解説には、乳児受け入れのハード、ソフト両面にためらいがあるといいます。幼稚園側の「学力低下」の声は、保育園児は学力で幼稚園児に劣るがごときかに聞こえますが、いかがなものでしょうか。
保育園、職員は発奮しなければならないと思います。
政府は保育園から先行して一元化の方針を固めており、保育園は学校法人と社会福祉法人の両面の性格をあわせ持つことになります。私たちは戦後間もなく制定の児童福祉法の福祉施設として歩んできました。福祉の概念を旗高く掲げており、誇りもあります。幼稚園は学校教育法による学校になり、確かに歴史は古い。明治9年、いまのお茶ノ水女子大の前身、東京女子師範付属幼稚園が日本最初であります。戦後生まれと明治生まれの違いが壁をつくっているのかも知れないが、私たちは生まれも育ちも「福祉」です。一元化されても、この概念が「学校教育」と交じり合うには、銀行の合併以上の時間と努力がいるはずです。
行政のみなさんには突貫工事でなく、いまからご指導願いたいと思っています。
最近、脳の発達の本を読む機会がありました。乳児、幼児の脳に関心があったからです。
脳が急速に成長するのは0歳から3歳と、思春期(10歳から15歳)といわれています。
持って生まれた脳は、脳全体の4分の1に過ぎず、4分の3は環境と経験でつくられるという話でした。3歳までの子育てがその後の脳に影響する、とするならば保育園の役割は大きい。
幼稚園が一元化に反対する以上、保育園の最大の強みは養護と教育の連続性にあるといってもいいでしょう。ちなみに当園の0歳から5歳まで一貫して通う園児は、全体の7割にのぼります。
セヴァ・子ども学園 園長 中西京子




